第1回担当者会議

9.経営診断(企業的経営診断の視点)について

[ 用語の意味・背景 ]
経営診断・分析を行う上での視点として、①所得追求の視点、②比較診断の視点、③企業的経営診断の視点、の三視点について考えておくことが大切です。

ここでは、③企業的経営診断の視点についての話しです。

[ 概 要 ]
3.企業的経営診断の視点
 農業と言えども、経営の企業化が期待されています。そこにおける経営管理のために、経営を総合的に把握し診断していくことが重要です。その視点として、次の4点に注目していくことが大切です。(企業的といかない一般的農家の経営といえども視点は同じです)
 ①「発展性」を見る
 企業的経営は、常に事業が上向きに発展することを念願しています。企業に発展性があるということは年々販売収入が増加していることであり、収入の伸び率の大小で発展性を判断します。
  販売収入が前年と比べ伸び悩んでいるなら、速やかに新らしい対策を打ち出さねばなりません。
これが経営の「発展性」を診断する視点です。

 ②「流動性」を見る
経営活動は常に近代化を図り、合理化を進めていくことが大切です。このため設備の充実を図り、機械を装備して人手の節約に努め、労働生産性を向上させていきます。
そのためには、無計画に機械等を導入してもよいというものでもありません。最小の費用で最大の収益を上げるよう、経営者は常に設備等への投資限界を心得ておく必要があります。これが経営の「流動性」を診断する視点です。

 ③「経済性」を見る
企業の経済性は、経営に投下している資本がどの程度有効に活用されているかどうかという、資本生産性を見ることです。
今まで農家の場合、どこまでが家産で、どこまでが経営のための資本かあまり気にならなかったようです。企業的経営を意識すると、投下資本も大きくなります。経済界の変動等のあおりを受け、企業利潤が無視されるような場合、何の対策もなく推移すると、やがて企業は倒産することになります。
経営者は常に、自分の投下資本について生産性が上がっているかどうか確認しておく必要があります。これが「経済性」を診断する視点です。

 ④「安全性」を見る
経営が常に自己資本で運営されるなら倒産の危険は少ないのですが、自己資本には限度があります。多くの経営では、多額の資金を借り入れることが多いようです。この場合、どれ位まで借り入れることが安全なのか、その目安を定めることが重要で、これが「安全性」を診断する視点です。今日では、総資本の半分以上を自己資本で占めるべきであると言われています。